高野孟の「極私的情報曼荼羅」
投稿者: 高野孟 日時: 2006年05月19日 09:18 http://www.the-journal.jp/contents/takano/2006/05/post_39.html
大阪は同和利権事件で大騒ぎ! 東京と大阪でこれだけ扱いが違う事件も珍しい。大阪市の外郭団体から約30年間にわたって駐車場運営を委託されてきた同和系の財団法人「飛鳥会」の小西邦彦理事長が、収益の一部を着服していたとして逮捕された事件がそれで、東京では社会面でサラリと伝えられた程度だが、大阪では、逮捕のあった5月8日の夕刊から連日、1面と社会面のトップを飾り、背景解明の続き物も登場するという大騒ぎに発展している。
小西は、元山口組系の暴力団員で、70年代後半には組を抜けたものの、その後も暴力団と深い繋がりがあった。その一方で、67年に部落解放同盟大阪府連飛鳥支部を設立して支部長に収まり、71年に飛鳥会を設立、その2年前に始まった国の同和対策事業特別措置法に基づく補助金利権の受け皿とした。飛鳥会は市営の「飛鳥人権文化センター」(旧解放会館)の隣にビルを構え、同センター内にただ同然の家賃で喫茶店を経営し、また市職員である同センターの館長や副館長を飛鳥会のスタッフのように使っており、退職した市職員で同会やその関連事業に就職した者もいた。小西と市の癒着のデタラメぶりを示す一例は、市が飛鳥会のために74年に6億6800万円で土地を購入、「地元住民のための菜園」を運営させ、その運営費として年数百万円の補助金を渡していたことである。
そのような関係の中で、74年に市の外郭団体「市開発公社」がJR大阪駅近くにある「西中島駐車場」の運営を随意契約により飛鳥会に委託、小西は200台以上収容でき年間約2億円の収入がある駐車場を「90台収容で7000〜8000万円の収入」であるかに偽って収支を報告し、残りを自分の個人口座に移し替えていた。駐車場以外にも、飛鳥会が営む共同温泉事業や、彼が81年に設立した社会福祉法人「ともしび福祉会」などには、国、府、市の補助金が判明しているだけで総額53億円も入っている。
さらに建設工事利権もある。69年特措法以来、それを引き継いだ82年の地域改善対策特別措置法、さらにそれを引き継いだ87年の地域改善対策財政特別措置法(02年3月で失効)までの33年間に大阪市が支出した同和対策費は約6000億円。その約3分の1は建設関連事業で、「大阪府同和建設協会」傘下の会員企業約350社がほぼ独占的に受注してきたが、その配分を取り仕切ってきたのも小西で、「大阪市の工事で、小西さんが『今回は○○建設や』言うと、周りはさーっと引く」(9日付朝日)という具合で、それによって彼には工事費の最低5%が落ちる仕組み(11日付朝日)になっていた。
駐車場はじめ小西の同和利権については、市議会でもしばしば問題になり、また04年12月には、市監査委員から駐車場の随意契約は「不適切」との指摘も受けていたが、市長と市当局は小西を恐れて手を打たないできた。やくざと同和と行政がベタベタに癒着する関西独特の風土と言える。
市関係者が「暴力団の影が怖くてなかなか断ち切れなかった」などと弁解するのは嘘で、市職員の3〜4割が同和関係者で占められているところに癒着の構造的な素地がある。京都市の場合、70年頃から市職員の採用に当たって「選考採用」という枠が設けられ、職業差別に苦しむ同和地区出身者の救済のために同和運動団体の推薦に基づいて技能労務職員を採用、その結果、同制度が打ち切られた02年以前には同市の職員約1万9000人のうち約30%を選考採用者が占めていた(読売11日付)。大阪市の場合も同様で、約40%がその関係者。市の職員に背広が支給されるといった非常識な体質が問題になったが、あれは元々は、職員の中の同和関係者にだけ支給されていたもので、それに対して他の職員から「なぜあいつらだけが」と不満が高まったので、「じゃあ全員に支給しよう」ということになったもの。同和に対する度を超した優遇策が市当局全体に非常識を蔓延させたという構図である。
今回は小西とともに、飛鳥会に事実上出向して金の出し入れを担当してきた三菱東京UFJ銀行の課長も業務上横領の幇助の容疑で逮捕された。同行は旧三和銀行時代から小西と付き合いが深く、20年ほど前からは支店長命令で課長級を飛鳥会の事務所に常駐させていた。同行が小西に融資した金額は50億円で、そのうち30億円は不良債権化していると言われるが、それ以外にも小西の仲介で暴力団関係に流れた融資があると見られている。組は離れたとはいえ小西は企業舎弟のような存在で、97年には山口組が絡んだ抗争で部落解放同盟飛鳥支部に5発の銃弾が撃ち込まれ、以来、組関係者2人がボディガードとして小西に付いて歩いていた。そうしたことから、大阪府警は彼を「山口組の資金源」「事実上の組関係者」と見て以前から探りを入れていたが、そういう人物と知りながら市も銀行も大金を降り注いできた訳で、その社会的責任は逃れることが出来ないだろう。それにしても関西の闇は深い。▲
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